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続きは、球場で。

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忘れてはいけないこと

《忘れてはいけないこと》

鎮魂の碑(2)鎮魂の碑(1)

 東京ドームの、というよりは、『野球殿堂』の傍に、『戦没野球人』の慰霊碑(写真)がある。

 ある、と知った風に書いているが、実は私自身、2006年6月11日の夕方までその存在を知らなかった。
 勿論、野球選手が何人か、戦争で亡くなったことを知ってはいたが。

 観ようとした横浜での試合が雨で順延となることが昼頃決定し、変更の利かない飛行機が夜の8時半だったため、有り余る時間を野球体育博物館で過ごそう、と思った。
 日頃から移動距離が半端じゃない道民にとって、関内から水道橋など市内の移動と同じ感覚だ。

 JRを乗り継いでたどり着いた野球体育博物館で、アジアシリーズやWBCに関わる展示や特別展『名選手のグラブ展』を中心に(常設展示はもう何度も見たから)見て回り、野球殿堂の部屋に入る手前に、戦没野球人の名前が掲示されていることに気づいた。

 その片隅に、慰霊碑の存在が記されている。

 雨の中、記載に基づいてその慰霊碑のもとへ行き、野球への思いを胸に『祖国のため』という言葉のもと、国家に殺された選手たちの最期に思いを馳せた。
 自然と目を閉じ、頭を垂れて冥福を、否、天国で大好きな野球を思う存分楽しんでいて欲しいと祈っていた。

 涙が止まらなかった。

 もしも今、戦争になったら。大好きな選手、例えば多村や金城や稲葉が徴兵され、恨みもつらみもない誰かを殺させられた挙句に殺されたら──

 戦争の罪。
 原爆の実害を体験したわが国こそが、もっと声高に訴えなければならないのではないか。
 そう思った。

 日本は今、戦争をふっかけられたらいつでも応戦できるように準備を進めている。
 戦争がもたらすものが何なのか、まるで理解していないとしか思えない。

 どうか、この戦没野球人の碑に、新たに名前が刻まれることがありませんように。



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